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2020.11.25

ニュースリリース

アリババクラウド、世界最大のオンライン・ショッピング・フェスティバルを 成功に導いた最新技術を公開

世界70億人の高解像度写真230枚分のデータを処理できる能力大英図書館の英国ウェブアーカイブ*[1]に保存されているデータの15倍に相当する、7兆行のリアルタイム・データを処理

アリババグループのデジタルテクノロジーとインテリジェンスの中枢であるアリババクラウドは本日、アリババグループが開催した「天猫ダブルイレブンショッピングフェスティバル(通称:『独身の日』、ダブルイレブン、W11/中国語『双11』、以下『独身の日』)」向けに投入した最先端の技術を公開しました。

11月1日~3日と11月11日の2回の販売期間に延長し開催した今年の「独身の日」の流通総額(GMV)は、4,982億元(約7兆7,200億円)と過去最高額を記録しており、その大規模なセールイベントを支えたのがアップグレードしたアリババクラウドのインフラでした。11月11日は、開始からわずか26秒後に注文数が毎秒58.3万件とピークに達し、2009年11月11日に初めてフェスティバルを開催した時のピーク時の1,400倍に増大しました。

アリババグループの最高技術責任者(CTO)であるチェン・リー(Li CHENG)は、次のように述べています。

「世界最大のショッピング・フェスティバルで約8億人の消費者と25万のブランドをサポートできたことを大変誇りに思います。ダウンタイムゼロの運用をサポートする安定したデジタル・インフラや開発者の効率を高めるクラウドネイティブなサービス、円滑な顧客体験を実現するアプリケーションの提供など、当社のテクノロジーは厳しい試練を乗り越えることができたと自負しております。」

Apache Flinkを使用したアリババのリアルタイム・コンピューティング・プラットフォームは、ピーク時に1秒間に約40億件のデータストリームを処理し、その能力は昨年の25億件から大幅に増加しました。アリババ独自データウェアハウス・プラットフォームであるMaxComputeは、今年の「独身の日」のイベント期間中に、1日に最大1.7エクサバイト(エクサバイトは10億ギガバイトに相当)のデータを処理しました。これは、世界の70億人分の高解像度写真230枚を処理するデータ量に相当します。期間が長くなった今年のイベント開催期間中、極めて高い拡張性と処理性能が問われるにもかかわらず、ダウンタイムは一度も報告されませんでした。

アリババクラウドは、PolarDB、AnalyticDB、Lindormなどのクラウドネイティブなデータベースを活用することで、ピーク時でも「独身の日」を円滑に運用することができました。PolarDBは、「独身の日」のピーク時に1億4,000万件/秒のクエリ(昨年比60%増加)を記録しました。また、アリババクラウドが自社開発したデータウェアハウスAnalyticDBは、大英図書館の英国ウェブアーカイブに保存されているデータの15倍に相当する、最大7.7兆行のリアルタイム・データを処理しています。さらに、PolarDB-XとAnalyticDBにより、中国郵政は「独身の日」の期間中に1億件以上の注文に対応することができ、約10万人の中国郵政の利用者がオンラインで配達状況をリアルタイムで確認できるようになっています。

今年のテクノロジーとイノベーションのハイライトは以下の通りです。

消費者にとってより魅力的な体験を実現

  • 今年の「独身の日」では、アリババのライブコマース・サービス「タオバオライブ(淘宝直播)」で数万本のライブストリームが配信され、消費者向けのマーケティング・販売活動においてライブ配信が中心的な役割を果たしました。遅延を1秒以下(業界平均より約75%低い遅延)に抑えるRTSReal-time Streaming)技術などのアリババクラウドの狭帯域・高精細映像ソリューションを活用しています。消費者とダイナミックかつ円滑に交流できるライブ配信体験を提供したことで、マーチャントの売上の向上にも繋がりました。
  • アリババのライブコマース・サービスであるタオバオライブでは、自然言語処理(NLP)、画像認識、TTSText-to-Speech、テキストの読み上げ機能)、クラウド・レンダリングなどのアリババDAMOアカデミー(達摩院、以下「DAMO」)の最新のマルチモジュール技術を活用して、出店者向けのバーチャル・キャスター・サービスを開始しました。このバーチャル・キャスターは、ライブ配信の販売員が休憩している間(通常は深夜から早朝)でも、ライブ配信中で商品の詳細を説明したり、一部の問い合わせに対応したり、視聴者とゲームをしたりする機能を備えています。
  • アリババのグローバル小売マーケットプレイスであるAliExpressは、DAMOによる革新的な音声モデルを採用した、Eコマース・プラットフォーム上で機能する世界初のリアルタイム・ライブ配信翻訳機能を発表しました。騒がしいライブストリーミング環境における音声の聞きづらさを軽減し、なまりのある音声も認識可能です。「独身の日」の期間中、AliExpressの出店者の70%以上がこの翻訳機能を活用しました。イベント期間中、全世界で約800万人の視聴者がAliExpress上で9,000本以上のライブ配信映像を視聴しました。
  • タオバオ(淘宝網)では、不動産物件や家具などの高額商品を販売するために、3D映像を使ったバーチャル・ツアーを開催しました。その中で、アリババは、グラフニューラルネットワーク(Graph Neural Networks GNN)、畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural NetworkCNN)、3D形状分析、ナレッジグラフなどの機械学習技術を活用した3Dモデリング・デザイン・プラットフォームをブランド向けに提供し、3Dモデル作成にかかる時間を3時間から10秒に短縮しました。出店者はこの技術を活用して、10万以上のショールームにバーチャル3D製品を設置し、フェスティバル期間中に6,000万人の消費者が体験しました。

クラウドネイティブな技術により、コンピューティング・リソースを80%削減

アリババクラウドは、前述のMaxCompute、PolarDB、AnalyticDBといった同社独自のソリューションがもたらすメリットに加え、世界最大級のコンテナ・クラスタをサポートすることで、1時間に100万個のコンテナにアップスケールできるようになりました。最先端のクラウドネイティブ技術が可能にした最適な弾力性とスケジューリング能力により、4年前と比較して、1万件のトランザクションが行われるごとに80%のコンピューティング・リソースを削減しました。

「独身の日」をグリーン化したハイパースケール・データセンターによるデジタル・インフラ

アリババは、5つのハイパースケール・データセンターで液冷や風力エネルギーを含む最先端のグリーン・テクノロジーを使用することで、「独身の日」の期間中に最も環境に優しい運用を実現しました。例えば、杭州にある同社のハイパースケール・データセンターでは、世界最大級のサーバー・クラスタを専用の液体冷却剤の中に沈め、ハードウェアを急速に冷却しています。これにより、トータルのエネルギー消費量を70%以上削減し、電力使用効率(PUE)を理想目標である1.0に近づけることができました。この杭州ハイパースケール・データセンターでは、従来のDCと比較して、年間最大7,000kWhの電力を節約することができ、これは英国の16,000世帯以上の家庭の年間電力使用量*[2]に相当します。

すべての基幹システムをクラウドネイティブ技術で稼働

アリババグループは昨年の「独身の日」で、自社のすべての基幹システムをアリババクラウドに移行しました。アリババは、クラウドネイティブなイノベーションにより、技術的な限界に挑戦し続け、拡張性の高いアプリケーションの提供効率を2倍にまで高めることに成功しています。

アリババクラウドについて

2009年に設立されたアリババクラウドは (www.alibabacloud.com)、アリババグループのデータ・
インテリジェンスの中枢です。ガートナーによると、アリババクラウドは世界のIaaSプロバイダーの上位3社に入ります。また、IDCによると、アリババクラウドは中国におけるパブリック・クラウドサービスの最大手プロバイダーでもあり、同社のマーケットプレイスを利用する事業者、スタートアップ、企業、公共サービスを含む、世界中の組織に包括的なクラウド・コンピューティング・サービスを提供しています。アリババクラウドは、国際オリンピック委員会 (IOC) の公式クラウドサービス・パートナーでもあります。

*[1]大英図書館の英国ウェブアーカイブには500テラバイト以上のデータが保存されています。(出典:https://www.bl.uk/about-us/our-story/facts-and-figures-of-the-british-library

*[2] 英国の家庭の1ヶ月の平均電力使用量は約350kWh(出典:https://www.ukpower.co.uk/home_energy/average-household-gas-and-electricity-usage