アリババグループ・ホールディング・リミテッド(銘柄コード:NYSE:BABA、HKEX:9988、以下「アリババ」「アリババグループ」「グループ」「当社」)は2023年2月23日、2022年10-12月期(2023会計年度第3四半期または当期)の決算を発表しました。
※アリババグループの2023会計年度は、2022年4月1日から2023年3月31日までの期間です。
※下記、1中国人民元=20円(2023年2月現在)で日本円に換算しています。日本円は参考値です。
アリババグループ会長兼CEOダニエル・チャン(張勇)のコメント
「需要の低迷に加え、新型コロナウイルス感染症対策の変更によりサプライチェーンと物流に混乱が生じたにもかかわらず、今期は堅調な業績を達成しました。今後も消費者マインドと経済活動は引き続き回復していくことでしょう。私たちはこの激しい競争環境下で引き続き顧客のために成長し、株主のために持続可能な長期的価値を生み出すための努力を続けていきます」
アリババグループ最高財務責任者(CFO)トビー・シュウ(徐宏)のコメント
「本四半期、当社は業務効率改善とコスト最適化を継続することで力強い利益成長を実現しました。当社のネットキャッシュフローは引き続き堅調を維持し、健全なキャッシュフローを生み出しています。また、本四半期に当社は自社株買い計画に基づき、米国預託株式約4,540万株を約33億米ドルで買戻し、引き続き株主還元の改善に注力しています」
グループの当期売上高は前年同期比2%増の2,477億5,600万元(約4兆9,551億円)、当期純利益(非GAAPベース)は前年同期比12%増の499億3,200万元(約9,986億円)、希薄化後ADS1株当たり利益(非GAAPベース)は前年同期比14%増の19.26元(約385円)、調整後EBITDA(非GAAPベース)は前年同期比15%増の591億6,200万元(約1兆1,832億円)となりました。調整後EBITA(非GAAPベース)は前年同期比16%増の520億4,800万元(約1兆409億円)となりました。
2022年12月31日時点で、グループの現金および現金同等物、短期投資およびその他の資産運用投資金額は5,392億1,600万元(約10兆7,843億円)でした。フリーキャッシュフロー(非GAAPベース)は815億1,400万元(約1兆6,302億円)で、前年同期の710億2,200万元(約1兆4,204億円)と比較して15%増となりました。
当期、自社株買い計画に基づきグループは米国預託株式約4,540万株(約3億6,330万普通株に相当)を約33億米ドルで買戻しました。自社株買いの承認枠は213億米ドルで期限は2025年3月までとなっています。
中国コマース事業*の当期売上高は1,699億8,600万元(約3兆3,997億円)でした。需要が低迷し、厳しい競争のなか、12月の新型コロナウイルス感染症流行の影響によるサプライチェーンと物流の混乱にもかかわらず、当期のタオバオとTmallのオンライン流通総額(GMV)(未払い注文を除く)は前年同期比で1桁台半ばの減少に留まりました。このうち、GMVの減少は主にアパレル・アクセサリー製品の需要が低迷したことによるものですが、ヘルスケア製品、ペットケア製品、生鮮品の成長と電化製品の減少幅縮小により部分的に相殺されました。
タオター(淘特、旧・タオバオ特価版) とタオツァイツァイ(Taocaicai) は、新規ユーザー獲得のための投資を最適化し、全体の経営効率を向上させることで、引き続き前年同期比で赤字幅を縮小しています。タオターが製造者から消費者への直接販売(M2C=manufacturing to consumer)を支援していることは注目に値します。当期、タオバオとタオターのM2C製品GMV(未払い注文を除く)は前年同期比で35%以上増加しました。タオツァイツァイは引き続き中国小売市場における購入頻度の高い食料品と生鮮食品におけるアリババの市場獲得を促進しています。
グループの直接販売およびその他の当期売上は前年同期比10%増の744億2,100万元(約1兆4,884億円)でした。これは主にフーマー(盒馬鮮生)とアリヘルス(阿里健康)の売上増加によるものです。当期、フーマーは二桁の既存店売上高成長率を記録し、国内の対象都市でオンラインとオフラインの活動領域を拡大しました。また、フーマーは販売強化、配送効率と経営改善に取り組むことで、当期粗利益率の向上に成功し、前年同期比で赤字幅を大幅に縮小しました。12月の新型コロナウイルス感染症の再流行により、医療品とヘルスケア製品の需要が急増し、アリヘルスの売上高は前年同期比で急速に増加しました。
グローバルコマース事業の当期売上高は前年同期比18%増の194億6,500万元(約3,893億円)となりました。Lazada、AliExpress、Trendyol、Daraz等のプラットフォームを含むグローバル小売事業の当期総注文数は前年同期比で3%増となりました。これはTrendyolの堅調な注文数増加によるものです。当期のTrendyolの注文数増加は目覚ましく、これは主にローカルサービス事業の急成長とEコマース事業の力強い成長によるものでした。
Lazadaの東南アジアにおける注文数の成長は回復してきており、前年同期比で微増となりました。Lazadaはより多くの高付加価値サービスを提供することによる収益性向上と経営効率向上を継続しており、受注単位の損失は前年同期比で改善されています。また、AliExpressはツァイニャオと協力して国際物流能力を強化することにより、戦略的に事業を推進している国への配送時間を大幅に改善し、消費者体験をさらに向上させています。
ローカルサービス事業の当期売上高は前年同期比6%増の131億6,400万元(約2,633億円)、当期の総注文数は前年同期比で横ばいでした。デリバリー事業では、ウーラマ(餓了麼) の当期ユニットエコノミクス(1受注あたりの収益性) が引き続きプラスを維持しました。これは平均注文額が前年同期を上回り、注文ごとの配送コストが前年同期を下回ったことによるものです。ウーラマのGMVは引き続き成長しており、これは主に平均注文額の増加と、前年同期比で12月にプラスに転じた注文数増加によるものでした。ウーラマは新型コロナウイルス感染症の流行期間中に急速に高まった食料品と医薬品のニーズに迅速に応えた結果、注文額が比較的高いフードデリバリー以外の注文が大幅に増加し、ウーラマ全体の平均注文額の向上につながりました。
目的地型事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により、12月は受注数が減少しました。2023年1月に旅行需要が改善したことから、Amapの利用が回復し、Fliggy(フリギー)の海外旅行事業も迅速に成長しました。
ツァイニャオ・ネットワーク(菜鳥網絡)の当期売上高(アリババグループ内の事業間取引控除後) は、前年同期比27%増の165億5,300万元(約3,310億円)でした。これは主に2021年末から実施したサービス拡充により、顧客体験が向上し、消費者向け宅配サービスの売上が増加したことと国際物流のフルフィルメント・ソリューションサービスの売上が増加したことによるものです。当期、ツァイニャオ・ネットワークの売上高(アリババグループ内の事業間取引控除前)の72%は外部顧客からのものでした。
ツァイニャオはエンドツーエンドのロジスティクス機能を強化することで、スマート物流ハブ、長距離輸送網、仕分けセンター、ラストマイルネットワークを含む国際物流ネットワークを拡大し続けています。当期、ツァイニャオは新しい国際仕分けセンターを5か所開設し、海外にある国際仕分けセンターは合計で15か所になりました。中国国内においても、ツァイニャオは引き続き中国コマース事業のお客様のために宅配サービスの拡大を続けています。天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバルの期間中、直接またはツァイニャオ・ステーションを介した配送を含めると、1日の宅配数は最大で1,800万件以上となりました。
クラウド事業の当期売上高(アリババグループ内の事業間取引控除後)は、前年同期比3%増の201億7,900万元(約4,036億円)でした。これは主にパブリッククラウドの堅調な売上高成長に牽引されたもので、ハイブリッドクラウドの売上高減少により部分的に相殺されました。アリババグループ内の事業間取引控除後のIT業界以外のお客様からの売上高は前年同期比9%増で、Alibaba Cloud(アリババクラウド)の総売上の53%を占めています。当期、非IT業界からの売上高増加は、主に金融サービス、教育、自動車業界の牽引によるものでした。
アリババクラウドは世界各地における拠点を強化し続けています。2022年中にサウジアラビア、ドイツ、タイ、韓国、日本に新しいデータセンターを開設し、現在世界中の28か国・地域と86アベイラビリティゾーンでサービスを提供しています。さらに、アリババクラウドは2022年12月に特定領域ごとに各プロバイダーを独自基準で評価するフォレスター・リサーチ社が発表した「中国のパブリッククラウド開発及びインストラクチャ・プラットフォーム2022年第4四半期レポート(The Forrester Wave™ Public Cloud Development and Infrastructure Platforms in China, Q4 2022)」において中国のパブリッククラウド・サービスプロバイダー11社のリーダー企業として評価されています。アリババクラウドは、製品ラインナップと製品戦略で最高点を獲得しました。
デジタルメディア及びエンターテインメント事業の当期売上高は75億8,600万元(約1,517億円)でした。当期におけるヨウク(Youku)の1日平均有料会員数は前年同期比2%増となりました。背景にあるのは、主に良質なコンテンツと88VIP会員による継続的な貢献です。ヨウクはコンテンツや制作能力への規律ある投資を通じて経営効率改善を継続しており、当期で7四半期連続、前年同期比の赤字幅を縮小しています。
*中国コマース事業には、主にタオバオ、Tmall、タオター、タオツァイツァイ、フーマー、Tモールスーパー、サンアート、Tmall Global、アリババヘルスなどの小売事業と、1688.comなどの卸売事業が含まれます。
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※本原稿は、2023年2月23日に発表されたアリババグループ本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は中国語であり、その内容および解釈については中国語を優先します。
・中国語プレスリリース https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2023/0223/2023022300854_c.pdf
・英語プレスリリース https://www1.hkexnews.hk/listedco/listconews/sehk/2023/0223/2023022300853.pdf
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